上池滝の忘れ水で失恋を忘れる、東山タワー

名古屋市千種区の東山動植物園を見下ろすように併設されている展望塔、それが東山タワーです。地上134mの丘の上に天に向かって伸びるようにそびえ立つ高さ80mの展望塔です。

名古屋市制100周年記念で1989年に建設されました。東山動植物園はもとより、名古屋城、テレビ塔、ナゴヤドームなど、市内を一望することがでる観光スポットでもあります。

実は歴史的にみても浅い、この東山タワーが実はパワースポットであるということが、地元の人たちの間で話題になっているのです。それもちょっと風変わりなパワースポットなのです。

このような近代的な建造物には、いったいどのような効果があるのでしょう。パワースポットとなった所以、その理由もお伝えしたいと思います。

愛知県には、昔から、あるジンクス、言い伝えがあります。それは、「カップルで東山公園のボートに乗ると別れる」というものです。東山動物園の中央には大きな池があります。その池には、レンタル・ボートが多数あり、家族連れやカップルで賑わっています。

その池に、カップルでボートに乗るとカップルが別れるそうですが、最近では、そのジンクスをあえて覆そうとするカップルもいるそうで、噂を逆手に取った「ラブチャレンジ号」というボートに乗るカップルもいるそうです。

ところで、このある意味物騒なジンクスはいったいどうして始まったのでしょうか。これは、『上池の忘れ水の伝説』という昔話が元になっています。

昔、上池には心のきれいな大きな竜が住んでいました。村人が日照りに苦しんでいるときは、天に昇り雨を降らせてくれたそうです。そして、村人たちは、池の脇に小さな祠を建て、竜を祀ったといわれます。

ある日、一人の娘が母親の病気の治癒を願い百日詣をしますが、願いは届かず母親は死んでしまいます。娘の悲しみを見かねた竜は再び天に昇り、霊水を手に入れます。そして、娘にその霊水を飲ませたのです。

その霊水を飲むと、あらゆる悲しみを忘れる効果があるようで、やがて娘は母を亡くした悲哀をやがて忘れていくのです。

辛い別れを忘れさせる霊水伝説が、やがて「忘れる」「別れる」「切れる」と伝承され、いつしか「上池」が別れの池と伝わっていくのです。それが、東山動物園の池というわけです。それがもとで、東山動物園の池でボートに乗ると別れるというジンクスが始まりました。

東山の上池に住んでいた竜は、悲しみを忘れさせてくれるという言い伝えですが、では、いったい東山タワーとどのような関係になっているのでしょうか。

実は東山タワーの展望室には、上池の竜を祀った水鉢があるのです。それを「上池竜の忘れ水」といいます。その水鉢に失恋の思いなどの忘れたいことを短冊に書いて水鉢に入れると、いつしかその悲しみを忘れることができるそうです。

短冊は横の自動販売機で購入できます。そこに願い事、忘れたいことを書き、水鉢に入れると、短冊はクルクル回りはじめ、水の中に溶けていくのです。そして、無事短冊が解けたら、隣の竜の祠で二礼、二拍手、一礼のご参拝をお忘れなく。

失恋で傷心の方は、愛知県にお越しの際には、ぜひ東山タワーで悲しい思い出を流してみてください。

【名古屋市東山タワー】
場所:愛知県名古屋市千種区田代町瓶杁1-8
最寄駅
・市営地下鉄東山線「東山公園前」駅