地元では「津島のお天王さま」と崇められる津島神社

熱田神宮(名古屋市)、尾張大國霊神社(稲沢市)、針綱神社(犬山市)、千代保稲荷神社(岐阜県海津市)と合わせて尾張五社に含まれる津島神社は、東海地方を中心に全国に約3000社もある津島神社の総本山にあたります。摂末社が34社もあります。

愛知県津島市にある津島神社は、1500年近い歴史を持ち、古くは津島牛頭天王(ごずてんのう)社と称され、現在でも「津島の天王さま」と呼ばれ、地元の人に愛され続けています。牛頭天王とは、神仏習合の神のことを指します。

古くは織田信長、豊臣秀吉もここを崇敬しており、多くの寄進をしました。織田信長は、ここを氏神とし崇敬し、社殿の造営を施しました。その証に織田氏の家紋と津島神社の神紋は同じものなのです。

豊臣秀吉は桜門や社領を寄進し社殿を修繕、改築に厚く保護しました。江戸時代には、尾張藩主より幕府公認の朱印地となり、庶民に広まることになります。当時、人々は伊勢神宮に参ることがポピュラーな行事でしたが、「津島参らにゃ片参り」といわれ、その際に立ち寄る場所が、ここ津島神社だったのです。

秀吉が寄進した朱色の桜門は、目を惹きます。檜茅葺で桃山時代を象徴する荘厳な造りで、重要文化財に指定されています。対して南門は息子豊臣秀頼が秀吉の病気平癒を祈願して寄進したものです。

津島神社では多くの神様を祀っています。ご祭神は建速須佐之男命(たてはやすさのおのみこと)です。日本神話の中でも最もメジャーでスケールの大きい神様です。配神となる相殿神(あいどのしん)は大穴牟遅命(おおなむちのみこと)、別名大國主命(おおくにぬしのみこと)です。

天照大神の弟建速須佐之男命は、父の伊邪那岐神(いざなぎ)の言うことを聞かないがために怒りを買うことになり追放されます。その後、出雲の国で八岐大蛇(やまたのおろち)を退治して大蛇の腹から出てきた天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を天照大神の渡し、怒りを治めてもらいます。

その後、建速須佐之男命の荒魂(あらみたま)は出雲に留まり、和魂(にぎみたま)は対馬の地に収まり、それが津島神社の始まりとなります。荒魂と和魂は魂の二面性と思っていただければよいと思います。

出雲大社の神と同じ神の魂が祀られているとは、なんとも心強いですね。やはり、摂末社の中でも、建速須佐之男命の奇魂(くしみたま)を祀る柏樹(かしわぎ)社がパワーが特に強い摂末社です。

古代の日本神話から戦国の武将、そして、江戸時代には庶民の間に広まった津島神社には、いったいどのようなご利益があるのでしょうか。

こちらは疫病除け、厄難除け、医療、殖産興業、夫婦円満、良縁、縁結び、授福など、あらゆるご利益があり、大願成就、奇跡を起こす力も授けてくれるそうです。

毎年7月の最終土日に行われる尾張津島天王祭は、日本三大川祭の一つでもあり、全国から見物客が訪れます。ぜひ、この機会に歴史ある津島神社にお越しいただき、ご利益を授かるようにしてください。

【津島神社】
場所:愛知県津島市神明町1
最寄駅
・名鉄津島線「津島」駅徒歩12分