源頼朝寄進の念持仏が祀られる野間大坊

愛知県知多郡美浜町にある野間大坊(のまだいぼう)は、真言宗の寺院で、本尊は阿弥陀如来です。正式には鶴林山無量寿院大御堂寺(かくりんざんむりょうじゅいんおおみどうじ)です。

ここには鎌倉幕府を開いた源頼朝の念持仏が祀ってあります。平清盛の継母が賜ったものとされ、頼朝公が拝み通し、幕府を開いたといわれ、どのような願いでも叶えてくれるとされます。

680年ごろ建立され、その後行基によって発展し、空海(弘法大師)も訪れたという由緒ある寺院です。また、あまり知られていないのですが、ここ美浜町は源頼朝の父、源義朝の最期の地であり、境内には義朝の墓があるのです。

義朝の廟には、多くの木刀の模倣が供えられています。入浴中に義朝は暗殺されますが、そのとき「我に木太刀の一本なりともあれば(木刀の一本でもあれば死なずに済んだ)」と無念を叫んだといわています。

そのため、廟には義朝の魂を鎮めるために木刀をお供えするらしいです。この木刀に願掛けを書いてお供えします。その場に行くと、量の多さに驚きます。

また、討ち取った義朝の首を洗ったといわれる「血の池」と呼ばれる池があり、今でも、ときどき池の水が赤く染まるといわれています。また、頼朝公が父義朝を暗殺した者を磔にしたという松の木も残されています。

さて、ここには不思議なご利益があるパワースポットらしいですよ。先ほどの源義朝公の廟に木太刀を奉納するとどのような願いも叶うそうです。その廟の横に立ててある看板に『どんな願いもかなう』と書かれています。

これは義朝公の「我に木太刀の一本なりともあれば」という思いが願いを叶えてくれるのでしょう。義朝公亡き後も、豊臣秀吉や徳川家康の庇護も厚く、祈願成就、開運の寺として信仰を集め続けています。

さらに、厄除け、家内安全、商売繁盛、健康祈願、良縁成就、子授祈願、合格成就、学業成就、交通安全などを、それぞれ祈願する、火を焚き上げることで有名な護摩祈祷をしていただくこともできます。

護摩祈祷とは、悩みや病気、厄などを火で焼き尽くし、ご自身の身の願いを本尊様に届けて聞き入れていただく祈祷方法です。邪心を焼き、身も心も清めて新たなパワーを得てください。

そのほか境内には、多くのパワースポットがあり、西の客殿には『延命地蔵菩薩』が祀られ、頼朝公が幕府を開くのに祈願したといわれます。

境内西にある『お砂踏み』では、四国八十八ケ所のお砂が撒いてあり、四国の各寺院の名前を見ながら、ここを通ると、四国に行かなくても四国八十八ケ所霊場巡りと同じ効果を得て、徳を積むことができます。

境内のあちこちに梵字、真言が書かれた立て札や転経器(マニ車)と呼ばれる貴重なものがあります。真言とは、サンスクリット語で書かれた仏様への祈りです。

その他にも良縁を司る縁結びの『弁財天』、不眠除けの『お稲荷さん』などの神様が祀ってあります。また、本殿には江戸時代初期に狩野探幽が描いた『義朝公最期図』までが残されています。

どのような願い事も叶えることができるパワースポットでもあり、歴史女子にとっても、日本の歴史を振り返るのには絶好の場所です。ぜひ、足を運びたい場所です。

【野間大坊】
場所:愛知県知多郡美浜町野間東畠ケ50
最寄駅
・名鉄線「野間」駅徒歩10分